熱性けいれんとは?
小児が38℃以上の熱を出したときに、熱の上がり際におこるけいれんで、中枢神経系の感染症(髄膜炎など)や水分・電解質の異常(胃腸炎の脱水)などの原因がないものです。大人は熱が出る前に寒さや震えを感じますが、赤ちゃん、子どもはけいれんという大きな反応を示します。かぜやインフルエンザ、はしか、突発性発疹などの感染症にかかって発熱したときに起こりやすいです。生後6ヶ月~3歳くらいに起こりやすく(初めてのけいれんは1歳代が最も多く3分の1を占めます)、繰り返し起こす子もいます。(何度も繰り返すときは予防のために2~3年ほど抗てんかん薬を服用するケースもあります。)小学校に入学する前までに97%は治りますが、3%の子どもは熱のないけいれんを繰り返し、てんかんに移行します。
親やきょうだい、おじ、おば、いとこなどが子どもの頃に熱性けいれんを起こしたことがあると、起きる場合が多いようです。
日本では子ども100人に7~10人がかかる頻度の高い病気です。
症状は?
左右対称の全身けいれんです。全身がガタガタ震え、唇が紫色になり、両手足がピンと張って、急に目がつり上がって白目をむき、声をかけても反応はありません。
ほとんどの場合5~10分でおさまり、発作がおさまるとケロっとしています。後遺症の心配もありません。
対処方法は?
急にけいれんを起こすので、はじめは驚いてあたふたすると思いますが、深呼吸して落ち着きましょう。口の中に吐いたものがないことを確認し、以下のことも確認しましょう。
①衣類をゆるめ、顔は横向きに
首のまわりや胸元のボタンをはずし、衣類をゆるめます。けいれんで吐くこともあるので、はいたものが気管につまらないように、顔を横向きにします。
②けいれんの時間をはかる
けいれんがはじまった時間からおさまる時間を確認しましょう。
10分以上続く場合は至急受診しましょう。(救急車を呼びましょう)
③熱をはかる
熱性けいれんは一般的に38℃以上の熱を伴うので、熱がない場合は至急受診しましょう。
④けいれんの様子をみる
体の突っ張り方や震え方が左右対称かどうかをみます。けいれんが左右どちらかだけだっだり、一方からだんだん広がっていくようなときは至急受診しましょう。
⑤けいれんがおさまったら全身状態をチェック
顔色や目の動き、呼吸の様子、手足の状態を確認し、再発防止のために薄着にします。わきの下や足のつけ根、首筋などを冷やします。
けいれんが落ち着いたら受診しましょう。熱性けいれんそのものは治療する必要はありませんが、けいれんを起こしやすい赤ちゃんには、38℃以上発熱したら解熱剤を飲ませて様子をみます。今後の予防のために、抗けいれん薬(ダイアップなど)を処方される場合もあります。
*抱っこしたり、体をゆする、ぎゅっと抱きしめるとけいれんを長引かせる原因になるので、やめましょう。舌をかむことはないので、口の中に指やタオルなどを入れることは気道をつまらせてしまう恐れがあるのでやめましょう。また、けいれんの後はしばらく寝ることが多いので、大声で呼ぶこともやめましょう。
*以下の場合はてんかんや他の病気の可能性もあるので、至急受診しましょう。
・目覚めない、またはけいれんが10分以上続く
・けいれんの様子が左右非対称
・1日に2回以上起こす
・6歳以上
・熱がない
・目覚めたあとの様子がおかしい
・まひが残る
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