溶連菌感染症とは?

溶血性連鎖球菌(略して溶連菌)によって起こる病気です。溶連菌はだれもが鼻の穴やのどにもっている菌です。A群、B群、C群、G群などに分けられていますが、溶連菌感染症のほとんどはA群が原因です。赤ちゃんがかかることは少なく、感染、発症するのは1~10歳頃が多いです。3歳以下の子どもが溶連菌に感染した場合は、熱や発疹があらわれず、単なるのどかぜ症状だけのことも少なくありません。鼻から感染して咽頭炎や扁桃炎、猩紅熱を起こしたりします。A群溶連菌は皮膚から感染、発症してとびひを起こしたり、中耳炎、副鼻腔炎、肛門周囲膿瘍の原因になることもあります。
小児に多く発症しますが、成人もかかることがあります。1度かかっても繰り返しかかることもあります。合併症(続発症)として心臓弁膜に障害を起こすリマウチ熱や急性腎炎を起こすことがあるので注意が必要です。
1年を通して発症しますが、4月~7月、11月~3月が流行時期です。

*猩紅熱(しょうこうねつ)
溶連菌感染症の中で、全身に発疹が出て症状が重いものを言います。昔はたいへん恐れられていた病気で、死亡率の高さから法定伝染病に指定され、かかると隔離されていました。今では抗生物質で治療すれば、自宅でもケアできるようになりました。

原因は?

増殖した溶連菌がからだの多数の器官、組織に局所的にとどまり、多種にわたる毒素を生み出すことが原因と考えられていますが、なぜ一部の子どもだけが溶連菌に異常に反応するかはわかっていません。

症状は?

A群溶連菌で起こる咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱は、潜伏期間2~5日で、溶連菌に感染している人の咳やくしゃみなどからの飛沫感染、感染している人との濃厚接触、ウイルスがついている物を介した接触によって感染します。39℃前後の熱が出て、のどちんこや扁桃部分が真っ赤に腫れて激しく痛みます。食欲不振、嘔吐、頭痛、腹痛、筋肉痛、関節痛などの症状が見られることもあります。のどの炎症に関連して首のリンパ節が腫れたり、中耳炎を起こすこともあります。赤い発疹が全身に広がりますが、赤い発疹の出方や程度は様々で、かゆみをともないます。発病直後、舌は白いコケで覆われたようになりますが、3~4日すると赤くブツブツになります。(「いちご状舌」と呼ばれ、溶連菌感染症の特徴です)発疹が消えると同時に、指先の皮膚が新じゃがいもの皮のようにベロベロむけてきますが、ほとんどの場合、3週間ほどのことです。

治療方法は?

のどの分泌物をとって検査したり、血液検査をして判断します。抗生物質を使用すれば1~2日で熱が下がり始め、のどの痛みや発疹も消えていきます。高熱と関節の痛みが出るリマウチ熱や腎炎、血管性紫斑病などの合併症を防ぐため、薬は2週間ほど自己判断でやめずに最後まで指示通り服用することが大事です。(リマウチ熱や急性腎炎を起こすのは、治ってから2~3週間たってからです)

ホームケア

脱水症状を防ぐためにこまめに水分を与えましょう。食事はのどに刺激を与えないよう消化のよいものを。熱いもの、酸っぱいものなどは避けましょう。
体力を消耗しないように気をつければお風呂に入れてもかまいません。
感染力が強いので、家族内、特にきょうだいとの接触に気をつけましょう。