日本脳炎とは?

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスの感染によっておこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患で、コガタアカイエカという蚊がウイルスを運び、人をさすことで感染します。東~南アジアで多く見られる病気です。日本脳炎のウイルスは、毎年6~10月頃飼育されている豚の間で流行します。この豚をさした蚊にさされると、人間も感染します。

症状は?

症状があらわれずに経過する場合がほとんどですが、症状が出る場合、潜伏期間は7~10日ほどで、高熱や頭痛、意識障害、けいれんなどの重い症状が出ます。死亡率は15%と高く、死に至らなくても半数ほどに重い後遺症が残ります。感染して発症すると100~1000人に1人が急性脳炎になることがあります。脳炎は、高熱、頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などの症状が出て、有効な治療方法がないため、20~40%が死に至ります。死に至らなくても生存者の45~70%にまひや精神障害などの重い後遺症が残ると言われています。

予防方法は?

日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは日没後に活動が活発になると言われているので、日没後外へ行く場合、長袖、長ズボンを身につける、虫除けスプレーを使用するなど、ウイルスをもった蚊にさされないようにすることが大事です。日本脳炎ワクチンを接種することも予防につながります。

日本脳炎ワクチンとは?

定期接種の不活化ワクチンで皮下注射します。生ワクチンと違い、体内で増殖しないため、数回接種することで体に記憶させると十分な予防効果が期待できます。
以前のマウスの脳を使って作られたワクチン接種後に、重症の急性散在性脳脊髄炎の発症が確認されたため、2005年5月から定期接種であるものの国の積極的な接種勧奨が控えられていました。現在は、安全性が十分に確認された新たなワクチン(日本脳炎ウイルスをVero細胞で増殖させ、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化して製造した乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)が開発されて使用されています。

標準な接種時期は?

3歳~4歳に6~28日までの間隔をあけて2回、2回目の接種をしてから約1年あけて1回接種します。(Ⅰ期)
9歳~10歳の期間に追加接種を1回します。(Ⅱ期)

*定期接種期間としては
生後6ヶ月以上90ヶ月未満に初回の2回接種、初回接種後おおむね1年後に追加の1回(Ⅰ期)
9歳以上13歳未満に追加接種(Ⅱ期)

*患者がほとんど発生していない北海道では定期接種されていません。

副反応は?

100人に1人の割合で、2日以内に37.5℃以上の熱が出たり、接種部位が赤く腫れたり、発疹が出ます。