結核とは?

結核はいまだに毎年新たに2万人以上の患者が発生する主要な感染症の1つです。BCGの接種効果もあり、小児の患者は比較的少なく、高齢者の発生が大部分を占めます。せきなどを介して空気感染します。発熱やせき、食欲不振などが主な症状ですが、赤ちゃんはせきが出ないこともあります。結核はママから免疫がもらえないため、生まれたばかりの赤ちゃんでもかかります。大人の場合結核菌に感染しても体の免疫機能が働き、結核菌を閉じ込め、発病しないことがほとんどです。閉じ込められた菌は、肺の中に眠った状態でとどまります。しあkし、赤ちゃんの場合は免疫機能が弱いため、菌を閉じ込められず、発病する可能性が高いです。菌が血液に入ると、全身性の粟粒(ぞくりゅう)結核、結核性髄膜炎などの重症になりやすく、死に至ることもあります。死に至らなくても、難聴や脳神経麻痺、水頭症などの後遺症が残ることが多い怖い病気です。

BCGとは?

赤ちゃんがかかると重症化しやすい結核を予防する予防接種です。国が積極的に接種をすすめ、決められた期間内なら公費で受けられる定期接種です。(期限を過ぎると自費になります)
定期接種の期間が6ヶ月未満だったのが、乳児期に接種するワクチン数が増え、すべてのワクチンを接種するのに十分な期間をもうけるため、平成25年4月1日以降、1歳未満に期間が変更になりました。標準接種時期は5ヶ月~8ヶ月です。
生ワクチンで、ウシ型結核菌を弱毒化して作られています。
BCGワクチン接種で、結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核を64~78%程度予防することが報告されています。効果は10~15年続くと考えられています。

以前は、接種前にツベルクリン反応検査をして、結核に自然感染していない子に対してBCGを接種するのが基本でした。しかしほとんどの子が感染していないので、ツベルクリン検査は不要という意見が高まり、平成17年4月からは検査なしで全員に直接接種になりました。

上腕部にワクチンをたらし、のばし、スタンプを押し付けます。スタンプには9本の針がついていて、腕に2回押し付けるので、合計18個の針あとがつきます。18個のうち15個くらいは針のあとが残るといいと言われています。反応の程度には個人差がありますが、接種後に赤くなるなどの反応がまったくなかった場合は、医師に相談しましょう。

接種部位が乾く前に触ると、ワクチン液が他の部位につくことがあります。接種部位が乾くまでは触らないようにして、乾いてから服を着せます。200人に1人くらいの割合で、接種した側のわきの下のリンパ節が小指の先ほどに腫れることがありますが、通常は半年ほどで自然に治ります。接種後10日以内に接種部位が赤く腫れたら、結核菌に感染していて「コッホ現象」を起こした可能性もあります。接種したあとが、3ヶ月たっても化膿しているときやうみがひどい、首のわきやわきの下が大きく腫れて痛がるときは、受診しましょう。

コッホ現象とは?

接種してから1週間~10日以内(多くは3日以内)に接種部位が赤く腫れ、化膿してかさぶたをつくった場合、結核菌に感染している疑いがあります。一種のアレルギー反応によるものと考えられていますが、このような現象をコッホ現象と呼びます。
*コッホ現象は、結核菌に似た非結核性酸菌に感染した場合でも発生することがあります。

*接種後2~3週間から数ヶ月間赤く腫れたりうみをもったようになるのは一般的な反応です。

BCGの副反応は?

リンパ節の腫れや局所、全身の皮膚症状、骨炎(菌が骨に感染すること。局所の痛みや腫れ、歩行に影響が出る。後遺症が残る可能性は高くない。)、全身性のBCG感染症、アナフィラキシー。