アトピー性皮膚炎の子の肌の特徴

アトピー性皮膚炎の子の皮膚は、乾燥肌で、バリア機能が弱く、かゆみを感じやすく、感染しやすいです。
皮膚には人間の体を覆って、外界の刺激から体を守るバリア機能があります。角質物質と角質物質のすきまをセラミドという物質が埋めて、外界の刺激を入りにくくしているのですが、アトピー性皮膚炎の子はセラミドが不足しがちです。そのため、バリア機能が弱くなり、水分も保てないので、乾燥肌になります。また、バリア機能が弱いと汗や汚れなどの刺激が皮膚の奥まで入り込むので、かゆみを感じやすくなり、皮膚に細菌感染を起こしやすくもなります。

乾燥肌、感染しやすいことへの対策として、スキンケアが有効です。汗や汚れ、刺激などをなるべく早く洗い流し、乾燥を防ぐために保湿剤を塗ってしっとりさせることが必要です。かゆみにはアレルゲンの除去と塗り薬が有効です。アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症があるので赤くなったりじくじくして、かゆくなります。それをなくすには抗炎症作用の強いステロイド剤が効果的です。炎症がひどいときには炎症を沈静化させると、かゆみも治まり、ひっかかなくなるので、治っていきます。症状に応じた強さの薬を使い、良くなってきたらだんだん下のクラスの薬に変更していく必要があります。(軽症であれば必要に応じてマイルドまでのステロイド剤、強い炎症のある湿疹が体表面積の10%未満であればマイルドまでのステロイド剤、強い炎症のある湿疹が体表面積の10%以上であれば、ストロング以下のステロイド剤)

*アトピー性皮膚炎は人によって、また年齢によっても出方や出る部位が異なります。

赤ちゃんのとき

赤ちゃんのときは2~3ヶ月頃におでこや目の周り、頬、頭皮、ひじの内側やひざの裏、足首、耳たぶのつけ根に出やすいです。赤いブツブツ、赤く盛り上がったブツブツ、じくじくと湿った感じのするブツブツなどで、症状が重くなると液がしみ出していたり化膿して黄色いうみが出ているブツブツもあります。かさぶたもできます。

アトピー性皮膚炎の場合、ヒスタミンなどの化学伝達物質がたくさん出るので、「かゆい」のが特徴。かゆいと子どもはひっかいてしまうので、ブツブツを見て、ひっかいたあとやシーツでこすったあとがある場合、アトピー性皮膚炎のことが多いです。また、両頬、両方のひじの内側やひざの裏など、左右対称にブツブツがあるときもアトピー性皮膚炎のことが多いです。寝て過ごすことが多い月齢が低い赤ちゃんだと向き癖でどちらかだけシーツに触れていて、片方にブツブツが出ることもあります。

ブツブツはよくなったり悪くなったりを繰り返します。

1歳すぎ

1歳を過ぎると湿疹部分が黒っぽくなり、だんだん乾燥肌っぽくなってきます。湿疹ができて調子の悪い時期、比較的肌がきれいな時期と、症状には波があります。皮膚全体がかさかさしていて、ひじの内側やひざの裏などの関節部分、足首に赤いブツブツなどができます。目の周りや首にひどく出たり、耳切れすることもあります。白い粉をふいていたり、皮膚がうろこのようにかたくガサガサしたりしています。かゆみが強いので、かきむしって、ひっかき傷がたくさんあり、血がにじんでいることもあります。

よくなったり悪くなったりを繰り返します。空気が乾燥する冬になると症状が悪化する子、汗やプールの消毒が刺激になって夏に悪化する子など子どもによって症状には季節ごとの変化があります。