ぜんそくとは

ぜんそくとは、発作的にゼーゼーやヒューヒュー、息が苦しい、胸が苦しい、せきがひどいなどの症状が繰り返しみられる病気です。気管支などの空気の通り道が炎症によって狭くなります。急に息苦しくなることもあれば、何でもないときがあること、ちょっとしたことがきっかけで息苦しくなることがぜんそくの基本とされています。日中はよいが夜間から早朝にかけて悪くなる、季節性がある、飲酒や運動などで増悪する、などの特徴があります。それらの症状は自然に、もしくは治療により良くなります。2-3歳で60%が、6歳までで80-90%がぜんそくと診断を受けています。12-15歳くらいにはぜんそくが自然に治癒していくことが多いですが、約10%の子供は成人になってもぜんそくが治っていません。完全に治ったかどうかはなかなかわからないので、成人になってからも再発する可能性は考えておかなければなりません。

「子どものぜんそく」と「大人のぜんそく」の症状は共通していますが、子どものぜんそくはアトピー型タイプが多いです。ダニ、ハウスダスト、カビ、食品に対するアレルギー反応。大人のぜんそく、特に成人発症のぜんそくは非アトピー型が多く、必ずしもアトピー体質を伴っていません。特に高齢者は長年の喫煙後に慢性閉塞性肺疾患(COPD)と合併する形で発症することが多いです。

受診のめやすとは

ぐったりしている、唇が紫色、ぐずって眠ることができない、口から何も飲めないときなどには受診が必要です。そんなに具合が悪そうでなくても子どもの容態は変わりやすいので、何かおかしいと思ったら早めに受診したほうがよいでしょう。発作が頻繁に起こるとだんだん受診のめやすがわかるようになってきます。発作のときだけ自分で吸入していて、普段は何もしないとぜんそくを重症化させたり、ごくごくまれにぜんそく死をまねくこともあるので、発作を定期的に起こすようであれば受診が必要です。

ぜんそくの治療とは

ぜんそくの治療には吸入薬が使われます。吸入薬には毎日規則的に使用する長期管理薬と発作が起きたときだけに使用する発作治療薬があります。

長期管理薬(コントローラー)

A. 抗炎症薬(気道炎症を抑える薬)

①ステロイド薬(吸入薬、経口薬)

②抗アレルギー薬(経口薬)

B. 気管支拡張薬(気管支が狭くなることを抑える薬)

①β2刺激薬(長時間作用性吸入薬、貼付薬)

②テオフィリン薬(経口薬)

発作治療薬(リリーバー)

A. 抗炎症薬

①ステロイド薬(注射薬、経口薬)

B. 気管支拡張薬

①β2刺激薬(短時間作用性吸入薬、注射薬)

②テオフィリン薬(注射薬)

*子どものぜんそくの治療は「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005」では乳児(0~1歳)、幼児(2~5歳)、年長児(6~15歳)に分けて考えられます。幼児と年長児については、吸入ステロイド薬が治療の中心で安全に使用可能。乳児では使用を控える傾向があるようですが、中等症持続型以上の乳児においては吸入ステロイド薬が基本治療となり、通常の使用法では副作用はほとんど問題となりません。

 

また、環境改善も重要です。ぜんそくのアレルゲンはダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛などです。じゅうたんは使用しない、ぬいぐるみなどほこりのたまりやすいものは置かない、寝具にはダニがつきやすいので定期的に丸洗いする、布団乾燥機を使用する、室内の湿度を高くしないことなどが有効です。

かぜをひくと発作をおこしやすくなるので、流行時には人ごみを避ける、家族もうがい、手洗いをして家庭内にかぜを持ち込まないことが必要です。たばこの煙も発作を誘発するので、家庭内では禁煙です。