アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に続く病気で、多くの人はアトピー素因を持っています。本人や家族が何かしらアレルギー性の病気(気管支ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎など)をもっていたり、IgE抗体ができやすかったりするようなアレルギー体質の人に多く見られます。アレルギー体質の赤ちゃんは、さまざまな刺激に敏感に反応して、皮膚が炎症を起こしやすくなる傾向にあります。アトピピー性皮膚炎の子は、ほかのアレルギー性の病気にもかかりやすい傾向があります。遺伝的要因だけではなく、環境要因も大きくかかわっています。敏感肌の赤ちゃんにも起こりやすいです。現在20歳以下の約10人に1人がアトピー性皮膚炎と言われています。一度治っても成人してから再発することもあります。

*母乳の赤ちゃんでも食べ物が原因とは限らないため、アトピー性皮膚炎になります。

症状は?

皮膚が乾燥して傷つきやすく、カサカサした粉をふいたようになる、赤くなる、ジクジクする、かさぶたになる、皮膚がかたくなるなど。耳の付け根が切れている子も多いです。かゆみが出てひっかく、傷ができてバリアー機能が落ちる、さらに刺激を受けやすくなるといった連鎖で、アトピー性皮膚炎の症状は強くなります。

アトピー素因とは?

アレルギーを起こしやすい体質が家族や自分にあればアトピー素因があるということになります。アトピー素因があるとさまざまな抗原に過剰に反応しやすいです。ただアトピー素因があるからと言って必ずしもアトピー性皮膚炎になるわけではありません。

 原因は?

アトピー性皮膚炎の原因には様々な要因が関わっていると考えられています。アトピー素因を持っていることやバリア機能が低下している皮膚状態など体質的要因とアレルゲン(ダニ、ほこり、カビなどのアレルギーを起こす物質)や汗などによる刺激、衣類でこすれるなどの物理的刺激、精神的ストレスなどの環境的要因があります。

 治療方法は?

①薬物療法、②スキンケア、③悪化因子の除去の3本柱になっています。

原則的にはアレルギー炎症を起こす物質をできるかぎりみつけ出し、除去する必要があります。それにもかかわらず皮膚に炎症が生じるときには、強力な抗炎症剤であるステロイド外用薬を主とする抗炎症剤で治療を行います。しかし、皮膚の状態が良くなってきたら不必要なステロイド外用薬の使用は避け、保湿剤に変更するなどが必要です。ステロイド外用薬は皮膚の状態によって、医師の指示のもと基剤、種類、量などを変えるようにします。また、ステロイド外用薬はすりこまずできるだけ薄く伸ばすように塗るのがコツです。

ステロイド外用薬の5段階分類

ストロンゲスト(最も強い)・・・デルモベート、ジフラール

ベリーストロング(かなり強い)・・・マイザー、ネリゾナ、アンテベート

ストロング(やや強い)・・・リンデロン、プロパデルム、フルコート

マイルド(普通)・・・ロコイド、アルメタ、キンダベート

ウィーク(弱い)・・・コルテス、プレドニゾロン

対策方法は?

①保湿、スキンケア
汗をかいたときは、シャワーでさっと洗い流すか、ぬれタオルで汗をふきとって服を着替えさせましょう。
1日1回は石鹸で洗いましょう。スポンジなどでゴシゴシこするのは、肌を傷つけるので、少量の石鹸を手のひらでよく泡立てて、泡でなでるように洗うのが良いです。熱いお湯は乾燥やかゆみを促すので、お風呂の温度は38~39度に設定し、長湯はさせないようにしましょう。入浴後は肌が乾燥する前に処方された薬をぬります。
口のまわりに、母乳やミルクやよだれなどがついたときは、軽く絞ったガーゼなどを使って、肌を押さえるようにふきます。

②掃除
こまめにふき掃除をしたり、掃除機をかけ、ハウスダストを除去します。布団やぬいぐるみ、クッションにも掃除機をかけて、掃除中や暖房の合間には換気のために窓を開けてクリーンな空気を保ちましょう。

③衣類
赤ちゃんの肌着やベビー服は、素材が綿100%で、肌を刺激しないすっきりとしたデザインを選ぶようにします。新品の衣類は着せる前に1度水洗いをしましょう。ママの衣類も抱っこするときに刺激にならないように、チクチクする衣類は避けましょう。何回も荒い、布地がかたくなると吸水力が落ちて汗の吸い取りが悪くなるので、新しい肌着に替えましょう。